飼い犬の鳴き声についてのトラブル事例

都市近郊の庭付き戸建て住宅の所有者間で、買主の鳴き声について不法行為の賠償請求が提訴され、一部容認の判決がありました。



飼い主は鳴き声が近隣の迷惑にならないようにする義務がある

都市近郊の山間部を通る国道からさらに200mほど山を登った地域に、一団の団地がありました。

女性ガンツ花子さん(仮名)が平成6年にそのうち一軒の土地付建物を購入し入居。ガンツ花子さんは自宅でコンピューター関連のプログラム作成の仕事をしています。

 

青山さん(仮名)ら母と息子は平成8年、ガンツ花子さん宅と幅員4mの道路を隔てた斜め向かいの土地付き建物に入居。

ガンツ花子さん宅と青山さん宅は道路を挟んで直進距離で32.5mです。

青山さんは平成11年頃、生後1,2ヶ月の子犬を入手し庭に犬小屋を置き、庭で放し飼いの飼育を始めました。(以後、青山ワンコ)

 青山さん(息子)の勤務形態は極めて不規則で、自動車で早朝に出勤したり、帰宅が深夜に及んだりします。青山ワンコは青山さん(息子)が自動車で出かける際は時間を問わず青山さん(息子)の気配がなくなるまで、帰宅の際は青山さん(息子)を見つけると自動車から出てくるまで鳴き続けました。さらに見知らぬ人が通っても鳴き続け、しかも他の犬と比較しても大きな鳴き声でした。

平成21年春頃から、近隣の権藤さん(仮名)宅の室内犬が逸走、ガンツ花子さんの敷地内に入り込む事態が発生。以降、権藤ワンコは度々逸走し、同時期に青山ワンコは真夜中も頻繁に吠える状態となり、ガンツ花子さんは就寝中に犬の鳴き声で起こされる頻度が増え、ガンツ花子さんが青山さんや権藤さん宅に向けて大声で苦情を言う事態が発生しました。

 

平成22年11月中旬、ガンツ花子さんはPCMレコーダーを購入し、ガンツ花子さん宅の2階から窓を開けた状態で何回も青山ワンコの鳴き声を録音。音量は最大値70.6dB、平均値は64.5dB(深夜早朝を含む)でした。同年12月中旬、ガンツ花子さんは心療内科を受診し「抑うつ状態」の診断で抗不安剤を処方されて通院。青山さん(息子)も十二指腸潰瘍で平成23年10月から翌年2月頃まで入院加療しました。そのため、青山ワンコは他所の親戚宅に預けられ、この間、ガンツ花子さんの通院はありませんでした。

 

翌年2月、ガンツ花子さんは青山さん(母)に神経症の発症を告げて、犬の屋内飼育や専門家による犬の躾などを要請。さらに同年10年簡易裁判所に鳴き声差し止めおよび損害賠償請求調停を申し立てました。青山さん(母)は本件周辺は犬の屋外飼育が多く、他犬も鳴いており、受忍限度を超えていないと抗弁し、調停は3回で不成立。

平成24年秋、ガンツ花子さんは青山さんらに対し損害賠償訴訟を提起し、鳴き声が受忍限度を超え、不法行為に該当するとして治療費、録音機材、慰謝料(150万円)等計182万円余の賠償を請求。他裁は『住宅地で犬を飼育すつ飼い主は鳴き声が近隣に迷惑を及ばさないよう犬を躾け、必要があれば調教依頼など飼育上の注意義務を負う』『カンコさんが青山さんらに苦情を言い、調停申立後も真摯に適切な措置を執らず』『ガンツ花子さんの平穏に生活する利益を違法に侵害し』『鳴き声は受忍限度を超えた』と歯科を除く医療費、録音機材、慰謝料(25万円)等約38万円の支払いを命じました(大阪地裁 平成27年12月11日判決 判例時報2301号)

 

 

 

 

実際に犬の鳴き声により、訴えをおこした実例があります。請求額は慰謝料含め182万に対し、他裁は慰謝料含め約38万の支払いを命じる結果となりました。

飼い主はペットを飼う際は近隣への配慮を欠くことなく、しつけも徹底しなければなりませんね。

しかし、室外犬を飼っているお宅は泥棒は避ける傾向が強い為防犯対策となるのも事実です。ご近所さんに愛される看板ワンコちゃんになるよう飼い主は気を払いましょう(^^)